Works ─ 制作事例

Folding Stool / Table

屋外でも使える、折り畳み家具の軽やかさ。紙の折り畳み椅子の発想を、大型3Dプリントで耐久性のある樹脂に置き換えました。

虹色の蛇腹が特徴の折り畳みローテーブル(ブルー天板)
グラデーションの蛇腹が特徴のローテーブル。天板ブルー×虹色のプリーツ。

「外で一服したい。でも、すぐ片付けられる椅子がない」

きっかけは、そんな日常の小さな不便でした。使っていた折り畳み椅子は壊れ、畳むのも面倒。ふと思い出したのが、紙でできた蛇腹の折り畳み椅子です。

あの軽やかさのまま、雨や湿気のある屋外でも安心して使える耐久性を持たせたい。そこから生まれたのが、この Folding Stool / Table です。

φ300mmスツールとして
φ500mmローテーブルとして

喫煙スペースなど屋外での使用を想定し、素材は雨や湿気に強いPETGを選びました。紙では実現しにくい耐久性を持たせながら、折り畳み家具ならではの軽やかなデザインをそのまま表現しています。

折り畳みスツールに座った使用イメージ(φ300)
直径300mmはスツールとして。座れる強度を構造で確保しています。

Structure & Technology ─ 構造と技術

01構造から生み出す強度

本体は壁厚12mmの蛇腹(じゃばら)構造。荷重を効率よく分散することで、軽量ながら十分な強度を確保しています。

上下の約30mmは、あえてフラットに設計。これは装飾ではなく、リング構造を正確に噛み合わせるために必要な設計です。

02必要な場所だけ、厚みを変える

全体を同じ厚みでは造形していません。曲がる部分(折り目)は柔軟性を持たせるために薄く、荷重を支える面は厚く。場所ごとに樹脂の線幅を細かく変えています。

厚みを均一にすると「硬すぎて畳めない」「柔らかすぎて座れない」問題が起きます。部位ごとに厚みを最適化することで、折り畳みやすさと座れる強度を両立しました。

03一筆書きで積み上げる、シームレス造形

この作品最大の特徴は、造形中に一度も押し出しを止めないこと。通常の3Dプリントは各層に継ぎ目(シーム)ができますが、この作品にはそれがありません。

底から天面まで、一筆書きのように連続して積み上げています。美しい見た目だけでなく、継ぎ目による強度低下も防いでいます。壁の厚さがそのまま強度になるため、0.8mmの太ノズルを採用しました。

04STLを使わず、数式から直接造形

一般的な3Dプリントは、3Dモデル(STL)を作り、スライサーでGコードへ変換します。この作品はその工程を経ず、数式から直接Gコードを生成しています。三角形分割による誤差がなく、設計した寸法をそのまま造形できます。

直径・高さ・襞(ひだ)の数・模様・円弧形状は、すべてパラメータ化。1台ごとにサイズやデザインを変えても、新たな金型もモデリングも必要ありません。

05色は、塗装ではなくフィラメントの発色

表面の色は、塗装でも貼り付けでもありません。虹色に発色するフィラメントそのものの色です。層が重なるほどグラデーションが生まれ、光の当たり方で表情が変わります。塗装ではないため、表面が擦れても色が剥がれることはありません。

大型3Dプリンターが蛇腹構造のスツールを一筆書きで積層している様子のイメージ図
※イメージ図(実際の造形の様子を図解したものです)

大型3Dプリントだからできる、ものづくり

大型3Dプリントは、既製品を作るための技術ではありません。使用環境や用途に合わせて構造そのものを設計し、一点ごとに最適な形へ変えられます。

紙製家具のアイデアを耐久性の高い樹脂へ置き換える。サイズを自由に変える。デザインを一点ごとに変える。——デザイン・構造・製造を一体で考えられることが、大型3Dプリントならではの魅力です。

DATAProject Data

作品名Folding Stool / Table
用途スツール・ローテーブル
サイズφ300mm(スツール)/ φ500mm(ローテーブル)
素材PETG
構造厚12mm
壁厚制御部位ごとに壁厚を最適化(折り目は薄く/支える面は厚く)
製造方法大型FDM 3Dプリント
特徴シームレス造形・一筆書き造形・パラメトリック設計・数式から直接Gコード生成・屋外使用対応・一点ごとのサイズ/デザイン変更が可能

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